K-HACCP認証 現場レポート②(株式会社龍名館様)HACCP運用施設では木製の調理器具は使えるか?

2019年7月3日

微生物検査、ATP検査を駆使して、職人にHACCPを受け入れてもらう


――HACCPでは「現場スタッフの意識」が非常に重要です。

和田 レストランには職人気質を持つスタッフが多いですが、そうした人たちに「頭ごなしに指示する」「無理難題を突きつける」といった態度をとってしまったら、現場スタッフの心が離れてしまいます。「守るべきルール」はしっかり押さえつつ、「どうすれば現場のスタッフができるようになるか?」「どの方法であれば、現場が最もやりやすいか?」を、現場と一緒に考えるように心がけています。
 例えば「HACCP運用施設では木製の調理器具(まな板など)は敬遠される」といわれます。しかし、何十年にもわたって木製の器具を使い、それに慣れ親しんできた職人に「木製は使用禁止!今日からプラスチックに変更!」と頭ごなしに指示したら、「これまで事故も起きていないのに、なぜダメなんだ」という拒否反応を示される可能性が高いです。
 そうした説明の際に必要なのが「客観的根拠」「エビデンス」です。例えば、微生物のふき取り検査、ATPふき取り検査などで数値を示して、その上で「木製の器具は傷の部分などに汚れが蓄積しやすく、洗浄後の洗い残しが生じやすい」「包丁は、刃の部分は洗浄しやすいが、付け根の部分は汚れが残りやすい」といった説明をすることで、「改善に取り組む必要がある」と納得してもらえました。  厨房では、野菜などの食材の洗浄、調理器具の衛生管理に微酸性電解水を活用しています。これも当初は「本当に導入する必要があるのか?」といった議論はありました。しかし、微生物検査などで効果検証を行うことで、今では必要性・有効性を理解してもらえています。


――木製の器具は使用していますか?

和田 まな板はすべてプラスチック製(用途に応じて色分け)に変更しましたが、包丁は持ち手が木製のものを一部では使用しています。職人は包丁をとても大切に管理しているので、いきなり変更すると抵抗される可能性があると思います。ただし、目的はあくまでも「洗浄後に汚れを残さないこと」「包丁からの二次汚染を防ぐこと」ですから、頭ごなしに「木製だからダメ」と決めつける必要はないと思います。例えば「持ち手の部分は念入りに洗浄する必要がある」ということを理解してもらい、適切な洗浄や保管ができていれば、食品安全上の問題はないはずです。「職人の気持ちに耳を傾ける姿勢」「職人が大切にしているモノ、店舗が大切にしているモノを、一緒に守っていく気持ち」は、特に小規模なレストランのHACCP構築では必要なのではないでしょうか。



衛生監査では手指や調理器具、調理環境などのATPふき取り検査を実施)

(月刊フードケミカル  立石 亘)

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